草菴は2024年11月、おかげさまで開業20周年を迎えました。
この節目にあたり、皆さまから草菴との思い出を綴ったエピソードを募集したところ、心温まる、時に涙ぐむような、心の奥に響くお便りを数多く頂戴しました。
日々の中で、お客様それぞれの人生に少しでも寄り添わせていただけたことに、私たちは胸いっぱいの感謝と、背筋が伸びるような想いを抱いています。
その中から、スタッフ一人ひとりが心に残ったエピソードを選び、感想を添えさせていただきました。
目次
■エピソード1:広島県 H様
「料理が美味しすぎると“美味しい!”という前に笑ってしまうのですよね。」
20周年本当におめでとうございます。
私の仕事は自営業で、家族3人で働いており、1年の疲れを癒してもらうために父と母を連れ、年末年始に最近はほぼ毎年宿泊させていただいております。
私が最初に草菴にうかがったのは恐らく10年以上前です。
母が知人たちとお昼ご飯を草菴でいただいた時にものすごく感動して帰ってきました。
いつか宿泊で行ってみたいね、と言っていたので家族3人で来てみました。
季節ごとに違う食材を使いながら出てくる料理の楽しさ・・・そして驚き。
全てが美しく、草庵の雰囲気、またスタッフの接客もよく、惚れ込んでしまいほぼ毎年伺っています。
今年はとうとうパートナーも連れて来てしまいました。
出雲旅行をし、その際の宿に草菴を選びました。
人間は不思議なもので、料理が美味しすぎると「美味しい!」という前に笑ってしまうのですよね。草菴の料理がまさにそれで、2人でずっと笑顔になりながら食べていました。
温泉も2人でゆっくり入れて、こんなに落ち着いて過ごせるお宿はなかなかないな、と再確認しました。
これからもこれまで通り、またアップデートしながら色んなお客さんを笑顔に、幸せにしてくださる宿でいてください。楽しみにしています。
ご家族で毎年のようにお越しいただき、今ではパートナーの方ともお越しくださるH様。お母様が草菴のランチをご利用されたことをきっかけに始まったご縁が、こうして十年以上続いていることに、とても嬉しく思います。
スタッフからのコメント
スタッフ 石飛より
ご家族やパートナーの方と何度も足を運んでくださっていること、そして草菴の料理に「笑ってしまうほど美味しい」と言っていただけたこと、とても嬉しく拝見しました。お客様に笑顔を届けるという私たちの願いが、H様にも届いていたことを実感しました。今後も期待にお応えできるよう、さらに進化してまいります。
スタッフ 峠より
「美味しくて笑ってしまう」という言葉に、お二人が心から楽しまれている様子が浮かびました。そんなひとときのお手伝いができたことを、心から嬉しく思います。これからも笑顔になれる時間をお届けできるよう、努めてまいります。
スタッフ 長岡より
私たちが大切にしている「明日への活力をお持ち帰りいただく」という想いを、まさに体現してくださっているように感じました。草菴のあるべき姿を、H様のエピソードが改めて教えてくれた気がします。
スタッフ 山田より
ご家族、そしてパートナーの方とも訪れてくださり、「また来たい」と言っていただけることが何よりの励みです。「美味しい!」の前に笑ってしまうほどのお料理、これからもその笑顔を引き出せるように頑張ります。
■エピソード2:鳥取県 K様
「初めての夫婦の時間を過ごした、大切な宿。」
3年前、入籍届を提出した日、草菴さんに宿泊させて頂きました。
コロナ禍で結婚式もできず、ハネムーンも行けないタイミングだったため、奮発して初めて上質なお宿に宿泊しました。
そして、初めて夫婦の時間を過ごしました。
上質な空気感に緊張感はありながらも、婚約指輪と結婚指輪を付けてウキウキした気分で過ごしたことを今でも鮮明に覚えています。
とても広く素敵なお部屋で、窓から綺麗なお庭を見ながらこれからの未来について話したりとゆっくり過ごしました。
中でも印象に残っているのが朝食です。
机に乗り切らないんじゃないかと思うくらいの品数で驚きました!
そして、身体にしみるような優しい味付けのお食事は本当においしかったです。
今では可愛い子供2人に恵まれて幸せな時間を過ごしていますが、素敵なご縁がありましたら、入籍ぶりに夫婦2人での宿泊もできたらなと考えています。
入籍届を提出されたその日に宿泊してくださったK様。コロナ禍で式も旅行も叶わない中、記念のご宿泊に草菴をお選びいただいたこと、とてもありがたく思っております。
いつかまたお二人で・・・。私たちも心待ちにしております。
スタッフからのコメント
スタッフ 石飛より
人生の大切な節目であるご入籍の日に、草菴を選んでいただけたこと、本当に光栄です。お二人の記念の場所として、草菴で新しい想い出を重ねていただけたら嬉しいです。
スタッフ 峠より
入籍当日のウキウキした気持ち、初めて夫婦として過ごす緊張感と喜び…そんな大切な時間を草菴で過ごしていただけたことに胸が温かくなりました。
スタッフ 長岡より
コロナ禍で思うように過ごせない時期に、草菴を特別な場所として選んでいただけたこと、大変ありがたく感じました。今ではお子様にも恵まれ、幸せなご家庭を築かれているとのこと。またいつか、お二人だけの時間を過ごしにお越しください。
スタッフ 塚本より
夫婦としての最初の旅に、草菴をお選びいただきありがとうございました。草菴がいつまでもお二人にとって特別な場所でありますように。またお迎えできる日を楽しみにしております。
■エピソード3:島根県 M様
「夫婦で草菴に集うことが、暗黙の恒例行事になった。」
2010年、私が隠岐の島に単身赴任をすることになり、結婚して約20年一緒に暮らした家内と離ればなれの生活が始まりました。
しばらくは、お互いが行き来して1年に何回か会っていましたが、
2013年11月、草菴で落ち合うことを初めて計画、実行しました。
紅葉に染まった草菴の門をくぐり抜けた時から別世界に我々を運んでくれました。
受付時のお茶の香り、案内された部屋からの庭の美しさ。
そして、露天風呂の素朴さと解放感。
夕食時、重厚感のある歴史を感じる空間で、あでやかな食器に美しく調理された海山の食材。
日頃会えない家内と俗世界から離れた空間で過ごした時間は至福でした。
それ以来、1年に1回は草菴で家内と時を共にするのが夫婦間の暗黙の了解の恒例行事になり、最大の楽しみの一つになりました。
コロナ感染症の流行のため訪問を控えた時期もありましたが、先日、草菴を訪れた時の喜びと解放感は久しぶりに味わった無防備な自分でした。
離れて暮らすご夫婦が、大切な時間を過ごされるかけがえのない場所。草菴がその場として存在できたことに感動しました。
スタッフからのコメント
スタッフ 峠より
単身赴任中の再会の場として草菴を選んでいただき、それがご夫婦にとっての恒例行事になったというお話に、深く感動しました。草菴がそのような大切な時間を過ごす場所になれたことを誇りに思います。
スタッフ 長岡より
接客の際に見せてくださったお二人の笑顔がとても印象的でした。ご夫婦の絆の中に草菴があることを、とても嬉しく思います。
スタッフ 山田より
年に数回の貴重なご夫婦の時間を、草菴でお過ごしいただいていると知り、あたたかな気持ちになりました。これからも変わらぬ癒しの場であり続けたいと思います。
■エピソード4:東京都 S様
「母との約束の場所。今度は、パートナーと。」
20周年、おめでとうございます!
遠く離れて暮らす私をいつも気遣い支えてくれていた苦労人の母への感謝の気持ちで、2011年8月に母娘ふたりで初めて草菴さんに宿泊しました。みなさんが温かく迎えてくださり、素晴らしいお庭や貸切温泉にお料理。余りの居心地の良さに、毎年来ようねと母と約束しました。
その後、新設された紫雲閣や離れの明治など色々なお部屋に宿泊し、その度に石飛さんをはじめスタッフのみなさんが、「おかえりなさいませ」と迎えてくださり、本当に嬉しかったです。
2019年頃から母が体調を崩し、草菴さんにも伺えないまま、昨年秋永眠いたしました。
肺の病気を患い、大好きな羽毛布団が使えなくなっていた母の体力が少し回復してきた時に、草菴さんに泊まりたいと思い、お布団の相談をしたところ、「羽毛以外のお布団をご準備しますよ」と快く仰っていただき、とても楽しみにしておりましたが、体調が悪化して伺えず、あの時は本当に申し訳ございませんでした。
母にとっても、私にとっても、ふたりで過ごした草菴さんでの時間は、とても愛おしくあたたかで大切な時間でした。最期まで、「またふたりで草菴でゆっくりしたいねぇ」と懐かしそうに言っておりました。
母との思い出の詰まった草菴さんに、今度は母も可愛がってくれていた大切な私のパートナーと伺おうと思いますので、その時はどうぞよろしくお願いいたします。
これからもどうか末永く、ますます多くのみなさんから愛されるお宿となりますようお祈り申し上げております。
遠く離れて暮らすお母様への感謝の気持ちを込めて訪れてくださっていたS様。
「またふたりで草菴に」と願ってくださったお母様。お母様亡き後でも草菴に心を寄せてくださること、大変ありがたい思いです。
スタッフからのコメント
スタッフ 石飛より
何度もご来館いただき、また私のことまで覚えていてくださり、本当にありがとうございます。お母様との思い出が詰まった草菴に、次はパートナーの方と訪れてくださる日を心待ちにしております。
スタッフ 峠より
お母様と過ごされた草菴での時間が「また来ようね」と言い合うほど心地よいひとときだったこと、とても心に残りました。また大切な方と、草菴で新たな思い出を重ねていただけることを願っています。
スタッフ 山田より
お母様と草菴で過ごした時間が「宝物」として記憶に残っているというお言葉に、胸がいっぱいになりました。これからも、皆様へ心に残る時間をご提供できる宿でありたいと思います。
■エピソード5:鳥取県 I様
「あの笑顔は、今も心に。」
2009年の今頃でしたが、実母の喜寿とお友達の古希のW御祝いで、宿泊させていただきました。
とても美味しいケーキも用意していただき、喜んでいた母のはしゃいだ笑顔を今でも昨日のことのように覚えております。温泉が好きだった母も昨年急逝し、先日一周忌を終えたばかりでした。このタイミングでの草菴様からの便り…これも母が忘れないでねと伝えてくれたのかなと思い出し涙いたしました。
もっともっと親孝行をしたかった、しておけば良かったと後悔ばかりですが、草菴様での想い出はこれからもずっと、私の宝物です。
喜寿と古希のWお祝いでのご宿泊。はしゃいで喜ばれていたお母様の笑顔が、今も鮮やかに残っているというI様の言葉。
草菴での想い出は宝物と言ってくださったそのお言葉に、胸を打たれました。
スタッフからのコメント
スタッフ 山田より
お母様とご友人の御祝いでのご宿泊が、今も鮮明な思い出として心に残っておられることに、私たちも感動いたしました。「母が忘れないでねと伝えてくれたのかな」というお言葉がとても心に響きました。
スタッフ 塚本より
お母様との大切な思い出が草菴に残っていること、そして一周忌という節目の時期に私たちの便りを受け取っていただいたというご縁。どうぞいつでも、思い出の続きを過ごしにいらしてください。
■エピソード6:広島県 T様
「いつか、思い出の場所へもう一度。」
草菴ができて間もない頃から一家4人で泊まり
何度も訪れたいお気に入りの宿でした。
子ども達が巣立った後も夫婦で数回泊まりました。
年を重ねる毎にしっとりと熟成した佇まい、美味しいお料理に舌鼓を打ち、安らぎを満喫したものです。
夫が病に侵されてからは訪れる事はなく、それでも元気になったらいつかはふたりで訪れたいものだと願っておりました。
願い叶わず夫は昨年他界しました。
またいつか思い出の草菴へ今度はひとり訪れてみようかと思うこの頃です。
長年ご家族で、そしてご夫婦でご宿泊くださっていたT様。
旦那様がご病気になってからも、草菴にもう一度行こうと願ってくださっていたこと。願い叶わず旅立たれた後も、「ひとりでも訪れてみようかと思う」と語ってくださったその言葉に感動しました。
スタッフからのコメント
スタッフ 塚本より
ご家族で、そしてご夫婦で過ごしていただいた大切な時間が草菴にあること、とてもありがたく思います。時が経っても変わらず心に残る宿であるよう、これからも精進してまいります。おひとりでのご来訪も、心よりお待ちしております。
スタッフ 山田より
ご家族との想い出、そしてご主人とのかけがえのない時間…。たくさんのあたたかい記憶が草菴にあることが伝わってきました。どうかまた、草菴へお越しください。お待ちしております。
20周年エピソード募集企画を通して感じたこと
今回お寄せいただいたたくさんのエピソードは、草菴の20年間の一番の財産になったと思います。
草菴という宿が、お客様の心にそっと残る存在であること。
そのことを教えてくださった皆さまに、心からの感謝を申し上げます。
時代が移り変わっても、思い出の力は変わりません。
これからも、また帰ってきたくなるような宿であり続けるために。
皆さまの想い出を大切に胸に抱きしめ、次の20年へと歩み出します。