皆様こんにちは。島根県は出雲にあります温泉旅館、湯宿草菴(草庵)のソムリエ、内田洋平(@izumo_sommelier)でございます。
日々お客様方へワインのサービスをさせて頂いている私でございますが、その中でお客様によく頂く質問があります。それは…
【ワインってどうやって注文したらいいの?】
【注文した後にあるテイスティングやら何やらが苦手で…】
といったお声です。
という訳で本日は、ソムリエがザックリお伝えする!スムーズでスマートなワインの注文方法ということでお話致します。
これは草菴のような出雲にある小さな温泉旅館でも、高級フレンチレストランでも、ワインを扱っているお店ならどこでも通用する内容ですので、是非ご一読頂ければと思います。
ワインの注文の流れ
ワインの注文は大きく別けて以下のような流れになります。
1、注文
↓
2、確認
↓
3、抜栓
↓
4、テイスティング
↓
5、サービス
↓
6、あとはご自由に楽しむ!
この中で皆様が直接関わる必要があることは、1の注文と4のテイスティングではないでしょうか。
それではひとつずつ見ていきたいと思います。
【1、注文】
まずはメニューであるワインリストを見てみましょう!草菴ではまだそれほど沢山の種類が無いので、頭を悩ませる事は少ないかもしれません。
しかし100種類や200種類もあるような場合や、そもそも横文字だらけで読むことすら困難な場合があるかもしれません。
そんな時は…素直にお店の方とお話しましょう!ソムリエがいれば勿論呼んで頂き、そうでない時は他のスタッフでも構いません。
ワインの注文で、まず決めておくべきこと
まずはじめに、ここで大きく決めておくと良いことは、自分たちが白ワインか赤ワインかスパークリングワインのどれを頂きたいかということですね。これがお決まりでないとなかなか話が進みにくいかと思います。
自分に丁度よい予算を決める
次に意外と、というか結構大事なお金の問題、価格です。
女性の前でカッコよくキメたい男性の皆様!
実際に「○○円位で」と口にするのはちょっと…と思ったことはありませんか?
そんな時はどれでもいいでの自分のお財布的に丁度良い価格をワインリストから見付けて指を指して「コレくらいのモノで…」と仰って頂ければソムリエは全てを察します!
お金の話は無粋なようでやっぱり大事なんです。
いくらお召し上がり頂きたいボトルがあっても、超高額なものを誰もが求めている訳ではありませんよね?
これをさり気なく伝えればお客様もお店の人も安心できるということです。
たったこのふたつ、白赤スパークリングと価格帯だけ伝えればもうご提案ができます。私たちはその日お客様にお出しする料理を熟知しているので、それに合わせたものやオススメのボトルをご提案致します。料理をこれから決めるという場合は先に料理を決めても勿論構いません。
もう一歩先行く注文の方法
もう1歩先にいきたい貴方へ!
飲みたいワインの味わいの方向性を仰って頂ければもう完璧です。
「フルーティなタイプ」ですとか「ドッシリとしたタイプ」、「爽やかなもの」や「スパイシーなもの」など、ひとつでもキーワードがわかれば出てくるワインが大ハズレという可能性もだいぶ下がります。
【2、確認】
注文が終わればもう8割方終わったようなものです。注文したボトルをテーブルにお持ちしますので、ご自身が選んだもので間違いないか、名前と、余裕があればヴィンテージも確認しておきましょう!
【3、抜栓】
確認が終わればあとは儀式のようなものです。ソムリエが抜栓する姿を生温かい目で見つめるも良し、ソムリエを背景におふたりの会話を弾ませるも良し、ソムリエにカメラを向けてプレッシャーをかけるも良し(良いのか!?)、自由な時間を過ごしましょう。
【4、テイスティング】
お客様が次に困ってしまうのがこのテイスティングという代物でしょう。
抜栓後、通常はソムリエが先に少しだけ自分のグラスに注ぎ、香味の確認を致します。
そしていよいよ…あなたの前に置かれたグラスにほんの少しだけワインを注ぎ、
「お味見をお願い致します。」
と申し上げることでしょう。
……さぁどうする!?何をすればいいの!?何を言えばいいの!?味見って何!?(TдT)
パニックにならないで下さい!何も難しいことはないんです!
このテイスティングというのは、ワインが正常な状態かそうでないかを確認するためだけのことなんです。だからマンガやドラマのように、
「このワインは美しく広がる大草原のような…」
とか、
「まるで華やかな舞踏会みたいな…」
とかいう意味不明なコメントは考える必要もありませんし、言う必要は勿論ありません(笑)
ここではサービスされたワインが、飲み物として正常な状態を保っているかを確認するだけですので、飲んで大丈夫なら「結構です。」と一言伝えるだけでも構いませんし、ソムリエに向かって頷くだけでもOKです。
極稀にですが、ワインから異臭や明らかに妙な味がする場合は申し出て下さい。先にソムリエが試飲をしているので、もしそうならその時点で気付くはずですが万が一ということもあります。
テイスティングの注意点
ここでひとつ注意して頂きたいことがございます。
よくテイスティングをして頂いている際に、
「これって気に入らない味だったら代えてくれるの?」
という質問を受けることがあります。
単刀直入に申し上げると、答えは【NO】です。なぜかと申しますと、先程あったように、テイスティングはワインが正常な状態かどうかを確認して頂くことが目的であって、お客様の趣味嗜好に合うかどうかを問うている訳ではないからです。
加えて、一度抜栓してしまったワインはもう一度栓をすることはできません。ですので、明らかに異常がある場合を除き交換してくれるケースはほぼありません。
ですが、お客様の舌に合わないようなワインをお出しすることがないようにするのがソムリエの仕事であります。コミュニケーションから好みを考え、想像し、そういった状況になることを避けるわけです。
【5、サービス】【6、あとはご自由に楽しむ!】
テイスティングが終わればあとは順にワインが注がれますので、ゆっくりと、お食事と共にお楽しみ下さいませ!
いかがでしたでしょうか?
ワインの注文は儀式的な部分も多々あり、それぞれのお店によって省く部分があったり違うやり方があったりします。ですが基本的な流れは変わりませんので、これさえ知っておけば怖いものはありません!
これが皆様のワインライフの一助になれば幸いでございます。